日本の財政と設備投資の関係

代表の菊地です。

先日の経済発展と税収の関係に引き続き、財政健全化のための方法について議論していきます。

初めに先日の数理モデルに財政についての微分方程式を加えるところからスタートしますね。

経済の自立発展モデル(国債の増減についての3番目の微分方程式を追加)

ここに書いてある、数字はほぼ、実際の数字に近いと考えられるものを使いました。なので、設備投資への投資係数は4%(k=0.04)を使いました。そうすると、

lo(tax ratio=0.05)のケース(10年間)

実際の税収に近くなるlo(tax ratio=0.05)のモデルで十年間シミュレートすると、10年間経済はほとんど成長しない。国債は増え続ける。10年後国債は1484兆円になってしまいます。

では、税率を変えて変化を見てみましょう。横軸は時間(年)、縦軸は国債(兆円)です。

税率を変えて変化を見る(国債)

そうすると、増税しようが(lo(tax ratio)=0.06のケース)、減税しようが(lo(tax ratio)=0.01~lo(tax ratio)=0.04のケース)財政破綻は避けられない見通してあることが分かります。民間企業の資金のグラフ、稼働中の設備のグラフも見てみましょう。横軸は時間(年)、縦軸はそれぞれ、資金(兆円)、稼働中の設備(兆円)です。

民間企業の資金のグラフ
稼働中の設備のグラフ

以上から、減税した場合も経済発展の伸びが緩やかであり、とても財政を立て直すだけの増収が見込めないことが分かります。

では、設備投資への投資係数を20%(k=0.2)まで引き上げるとどうでしょう。

k=0.2モデル

まず、現在の税率lo(tax ratio=0.05)からシミュレーション。

経済が大きく発展し始めましたね。ただ、税収としては不十分で、国債は緩やかに増えています。そこで、lo(tax ratio)を0.1から、0.6まで振って、国債の変化を見てましょう。

国債の変化(横軸は時間(年)、縦軸は国債(兆円))

lo(tax ratio)=0.2もしくはlo(tax ratio)=0.1の時は、16年もしくは、20年ほどで財政が健全化する見通しであることが分かります。

この二つを主に比べるために民間企業の資金と稼働中の設備の時間変化を見てましょう。

民間企業の資金(兆円)の時間変化
稼働中の設備(兆円)の時間変化

もう、お分かりですね。lo(tax ratio)=0.2のモデルでは、税収により経済発展が抑え込まれ、ほとんど経済が発展しないことが分かります。

それ以上の税率では、絶望的なことに経済は縮小し、そのために国債が増加傾向になることが分かります。(つまり、税率が高すぎると国債は逆に増える)

以上から、企業の資産を如何に設備投資に回させるかが、経済発展のキーであるかが分かります。そして、財政健全化はそれと一蓮托生であることが分かります。最低でも企業の保有資産の20%を設備投資に回させなければ、財政再建は夢のまた夢です。では、どうすればよいでしょうか。

・企業の保有金融資産に課税すること。
・設備投資は税を免除する。
・稼働している固定資産も固定資産税を免除する。

などの設備投資をあからさまに優遇する税制改革が必要だということがわかります。
場合によっては産業を盛んにするために稼働設備からの利益には課税しない。あくまで、金融資産に課税することが重要であると考えられます。

消費税は消費を冷え込ませ、設備投資を抑え込む方向に引っ張るので、減税が適切な選択と考えられます。

あくまでも、企業の予備資金に課税し、税収を増やし、設備投資を税制上で優遇(非課税)することによって設備投資係数を引き上げることができると考えられます。

そして、そのようにすれば、財政健全化のめどが比較的短時間(k=0.2の場合、適切な税率を設定すれば20年程度)で立つことが分かります。

いずれにしても、税制度は設備投資を促すように抜本的に改正する必要があるようです。

菊地英宏

山口多聞記念国際戦略研究所 代表・首席上級研究員

博士(工学)

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